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出世にとらわれた戦国武将・佐々成政の悲惨すぎる最期

鬼滅の戦史125

 

■おのれ秀吉! 切腹しながら詠んだ辞世の句

 

 成政はその後、秀吉に攻められて再び降伏。それでも、出世に対する意欲は強かったとみえ、今度は秀吉配下として奮戦したようである。数々の功績を残したことで、肥後一国を任されるまでになった。

 

 しかし、功を焦ったのか、検地の強行など、領民や国人に不安を抱かせるような政策を断行した結果、一揆を誘発してしまった。騒動を自力で鎮めることができずに秀吉から咎められ、ついには切腹を申し付けられてしまう。

 

 もともと家柄の低い秀吉を見下していた成政。屈辱のためか、腹を短刀で横一文字に切り裂いた後、なんと、はらわたを掴んで天井に投げ捨てた。さらに、「このごろの 厄妄想を 入れ置きし 鉄鉢袋 今破るなり(災難によって悶々としていたこの身を、今こそ打ち破って死んでやる)」と、辞世の句を叫びながら果てたのだとか。

 

 成政の悲惨な最期は、早百合が殺されてから4年後のことだ。彼女が死の間際に言い放った「数年足らずして」の言葉通り、成政の家名は地に落ちたのである。彼に恨みを抱いて死んだ早百合の怨霊のせいと見ることができるかもしれない。

 

 祟りの真偽はともあれ、家中を顧みず、ひたすら出世のために駆けずり回った男の哀しい末路であったことは間違いない。

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藤井勝彦ふじい かつひこ

1955年大阪生まれ。歴史紀行作家・写真家。『日本神話の迷宮』『日本神話の謎を歩く』(天夢人)、『邪馬台国』『三国志合戰事典』『図解三国志』『図解ダーティヒロイン』(新紀元社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『写真で見る三国志』『世界遺産 富士山を行く!』『世界の国ぐに ビジュアル事典』(メイツ出版)、『中国の世界遺産』(JTBパブリッシング)など、日本および中国の古代史関連等の書籍を多数出版している。

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